初夏

5月中旬~6月

ファレノプシス ミディタイプ

ミディは小さめのサイズの総称です。茎も花も小ぶりのため、今回のトライアルレッスンのお花の一つとして準備しました。小さな作品でしたらフォーカルに、大きなアレンジやブーケでしたらちょっと中心からずらして使うとよいと思います。チューブを使いエクステンションして利用するのもアイディアです。

単独で楽しむ場合は、茎が短いため花瓶に入れた時花の重みでひっくり返らないよう注意が必要です。花が多い場合はそれだけ水を多く必要とします。もし花びらに元気がなくなってくるようでしたら茎をシャープに斜め切りし、深水で管理してみて下さい。一番下の花を切り落とす、あるいは咲きそうもない先端のつぼみを切り落とすのも有効です。

トルコキキョウ ボヤージグリーン

うっすらとグリーンがのっているリシアンサスです。名前は'ボヤージュグリーン'ですが開花してしまえば白と言う感じです。しっかりとした茎、葉も肉厚で花数もそこそこありました。枝分かれも深い所からでしたので使いやすいと思い入荷。残念な事が一つ。水が濁り茎の中心部から腐ってきました。初めての事です。水替えは常時していましたが、ナイフや鋏をしっかりと消毒して管理してゆきたいと思います。

北米 ワイオミング州南東部、ネブラスカ、テキサス南部やメキシコなどミシシッピ川とロッキー山脈の間の草原地帯が原産。現地で咲いていた花はうす紫色、テキサス・ブルーベルという愛称で親しまれてきました。日本での交配が進み花はシングル咲き・ダブル咲き色も白、グリーンかかった白、クリーム、優しいオレンジピンク、優しい黄色、紫と白の複色があったりととても豊富です。気温の高い時期にありがたいお花です。よい物でしたら5輪も6輪も一枝につきますので華やかになります。アレンジメントにもブーケにも向きます。

水に浸かる部分の葉はきちんと処理をしましょう。小さなカケラでもバクテリア発生の原因になります。もともとは初夏のお花ですが、今は栽培により一年中入手が可能です。

ディサ アーティスト

南アフリカケープ州原産のランの交配種 三角のペタルで独特な形をしていますがどことなく品が漂います。実は昔使ったことがありその時にもランはランという事でご紹介していました。水あげは難しくナイフで茎を深くカット。その後深水にて一日管理しました。開き始めるとやはり嬉しいですね。レッスンでウェディングブーケに使用しました。

ref: https://www.bluenanta.com/display/information/100091420/?family=Orchidaceae&pid=100091420&role=pub

ref: Growing South African Indigenous Orchids

デンファレ シンガポールホワイト

’シンガポール’と名がついていますが、マレーシアで栽培されている輸入物です。2022年春から急激な円安のためこの花も高値となってしまいました。今回は茎は細身で上部にゆくにしたがって花の間隔があいているもので花数が少なく軽めです。本来はぎっしり詰まっているほうが切り分けて使う分にはよいのですが、長いまま使いたかったので先端が重くないものを探していました。ラッキーにもすぐ見つかりました。花数が少ない分水も落ちにくいのが良いですね。

原種系の蘭デンドロビウム・ギバナムの交配種。デンドロビウム ファレノプシスの流通名ですが、花の形が胡蝶蘭に似ている事からこのように呼ばれています。ref: https://www.aos.org/orchids/additional-resources/dendrobium-culture.aspx

ベロニカ ロンギフォリア

ヨーロッパ中部から北部の原産。長い穂に小さな花がたくさんつきます。開花の状態で少しうねりますがそれも魅力です。初日の水あげをしっかりすると下から咲き始め一週間は余裕で楽しめます。紫、白、ピンク色があります。ガーデニング用の苗も流通しています。鉢でもよく育ちますので一鉢あると重宝ですね。ブーケにもアレンジメントにも向いています。形が細長いため丸い花の間にいれるとリズムが生まれやすくなります。万が一アレンジメントに入れ水が不足し花に元気がない場合は、一度抜いて切り戻しコップに挿しておくと復活します。最近は本当に花もちが良くなりました。生産者さんの苦労の賜物だと思いありがたく最後まで楽しむことにしています。レッスンの時も人気のお花で、沢山入荷しておかないとすぐになくなってしまいます。

ポリガラ ミルティフォリア グランディフローラ

ヒメハギの仲間で、南アフリカケープ西から東の海岸沿いから山間にかけて広く分布し海沿いの厳しい天候や山あいの乾いた環境でも育つ丈夫な植物。2016年初めて巡り合った時からとても魅力を感じていました。最近になりよく見かけるようになりました。手入れも葉を落とし茎を切るだけで特別なケアは不要です。水があがると花はそのままの状態でほとんど落下する事もありません。

蕾は半月形の濃い緑、やがて膨らみ萼に色が出てきます。花弁は2つ羽のように左右に開きますが、一体どこが受粉する部分なのかは私にはわかりません。

クワズルナタル州(KwaZulu-Natal)でこの植物の抗菌作用が確認されており特に特定の細菌への効果が見つかっているそうです。死者を洗う時にも使ったとの記録もあるとの事、昔の人はどうやって薬草を見分けたのかとても不思議です。

白い花をつけるもの、あるいは細い葉をつけるものなど様々な種類があるようです。

ref: http://pza.sanbi.org/polygala-myrtifolia

ref: https://mikawanoyasou.org/data/polygalamyrtifolia.htm 花のクローズアップがあります。詳しい説明もあります。

マトリカリア ダブルラテ

マトリカリアはシングルベグモという花びらが一重のモノは初春からよく見ますが、ダブルラテは小さな花びらがたくさんついており中心部にある筒状花/管状花の部分が小さいのが特徴です。バルカンやコーカサスなど西アジアが原産。一本の枝に沢山小花が付いていますがアレンジメントやブーケに入れる時は小さすぎる蕾と葉を処分しながら使いましょう。花粉もシングルベグモのタイプほど飛ばないような気がします。花もちは気温にもよりますが6月は約1週間程度。本来はもっと長く持つはずです。水あげしている時は絶対に風に当てないように。実はキク科に強いアレルギーがあるため外に出していましたが、あいにくその日は風があり水があがるどころか反対に首が下がってしまいました。ラップするひと手間かければよかったと反省デス。

薬草としての利用も多く、歯痛、関節炎 、頭痛や熱の緩和などに用いられていました。キク科独特の香りがあります。

カラー クリスタルブラッシュ

すらっとした茎、なかなかモダンな雰囲気の花です。高めにアレンジしたい場合は太い茎を選びましょう。給水フォームに挿す時は、予め木の枝などで穴をあけておくとよいです。今が出荷のピークかと思われます。値段もお手頃になってきました。なおこの品種は茎をカーブさせる事ができる品種です。もしカーブしたデザインに使いたい場合は水揚げを少しの時間にすると柔らかく扱いやすいです。尚、多品種の白いカラーは曲げようとしても途中から折れますので注意が必要です。

カラーも一度水が上がれば浅水での管理がよろしいです。ご自宅では切り戻しをかけながら管理して下さい。気温が高くなるとどうしてもバクテリアの発生により茎が柔らかくなって傷むものがあります。もし水がすぐ汚れるようでしたら、すべての茎を点検して下さい。なかなか購入時にはその見分けもつかず難しい所です。モノによっては2週間楽しめるものもありますので、今後もじっくりと生産者さんを探すことにします。

どの花のメインテにも言える事ですが、花瓶とハサミはいつもきれいにしバクテリアの発生を少しでも抑えましょう。

カラー(海芋)の種類 http://fdb.jp/hidaka/node/120

ニゲラ ブルーイスタンブール

背も高くサイズの大きいニゲラです。この品種は晩性種で一般のニゲラより遅れて咲くようです。写真ではそれほど感じませんが青紫のややくすんだ色です。葉もガクの部分も切れ込みが多くモサモサした感じがとてもユニークです。もともとはスプレー咲ですが、栽培時には花数を少なくし一本に整えられたものが出回ります。大変ナチュラル感あるお花で、一般的なニゲラより花もちもよく、花びらが落ちず約6日間楽しめました。

シリアのダマスカスや地中海沿岸あたりで自生するキンポウゲ科の花。薄いブルー、ピンク、白などのバリエーションがあります。花弁は5日位で散ってしまいますが、花弁がない姿もユニークで目を引きます。和名はクロタネソウ、花名のNigellaはラテン語で黒という意味の'Niger 'から来ているとの事で、シードポットの中にできる真っ黒な種の事を指しています。ブーケに入れるとなかなかワイルドな趣になり、アレンジメントではつなぎの花として大いに活躍してくれます。

ガーベラ ソープ

レギュラーサイズのガーベラです。ピーチともピンクともとれるスィートな色合い。名前も'ソープ' 、可愛い色の石鹸のイメージでしょうか。いつも使っているのはミニサイズ、それからくらべるとかなり大きく感じます。たまにはこんなのもよいでしょう!花が大きいだけに水を吸います。特に浅水にしている場合最初の頃は一日一回は花瓶の水量をちょっと気にかけてあげて下さい。

ガーベラは一晩かけてゆっくりと水揚げします。その後は浅水で大丈夫。特に気温の高い時期は7㎝あれば十分です。花瓶の水を変えるタイミングで茎を斜めにカットしメインテすれば、モノが良ければ2週間も楽しめる事があります。オランダではロックウールで水栽培され、日本でも同じように栽培されているのが多々ありますが、やはり畑で育ったほうが力強く頼もしいです。お値段は手ごろで一年中入手可能なのも嬉しいです。

様々な色と大きさがあり、咲き方も多様なガーベラ。茎には葉がなくすらりと長いのですが、滑りにくくブーケにもアレンジメントにも万能です。形がはっきりとしているためメインの花としても活躍してくれます。