5月1日はメイ・デーで労働者の祭典の日ですが、フランスやイギリスを始めヨーロッパの国々ではスズラン祭りの日にあたります。(LA FETE DU MUGUET 仏)。スズランはフランス語で'Lys des Vallees'、英語では 'Lily of the valley'と呼ばれ、春の訪れの象徴の花であり、またケルト人たちにとってはラッキーチャームだったそうです。今日はフランス語のキーワードをいくつか交えてお話しましょう。レクチャーは友人のFrançoiseさんからご教示いただきました。
始まり 'Brin de Muguet'
1561年5月1日、フランス国王シャルル9世がスズランのブートニア 'brin de Muguet'をもらった事から始まりました。スズランは春の訪れの喜びと幸運の訪れの象徴とされています。以後、彼は毎年5月1日になると女官たちにスズランの花をプレゼントしていたそうです。
それから100年の歳月の後、スズランは労働者のための祭典メイ・デー'Fete du Travail'の象徴となりました。
'Bal du Muguet' 若者のダンスパーティ
Balは大切な人との会う機会という事で、この日だけは親たちはパーティ会場へは出向けません。女の子たちは白のドレスを着て、男の子たちは胸にスズランの花を付けての参加です。このダンスパーティの習慣はまだパリでも一部残っており、爽やかな香のスズランを束ねた素敵なブーケを大切な彼女にプレゼントするそうです。
スズランはその白く可憐な姿から'聖母の涙’と呼ばれています。花言葉は'幸福の訪れ’。5月1日のメイデーにイギリスやフランスでは親しい人たちに幸せを願ってスズランの花を贈りあう習慣があります。特にフランスでは、花屋以外でも街中に一般人たちのスズラン売りが登場する日です。どうもこの日だけ出没するスズラン屋さんたちは、庭にあるスズランを掘り起こしたり、朝早くに郊外の森まで出かけ自分で採取したものを売っているようです。即席スズラン屋になるには花屋から100m以上離れていて、根がない切り花のみの販売。特に届は必要なく老若男女誰でもなれるそうです。という事で、フランス人たちはこの日スズランを花屋や街のいたる所に出るにわか花屋のスタンドで購入します。コツは朝早く買うこと!昼になると品薄となりとても高価になってしまうそうです。数時間で相場が上下しますので、やっぱりどこでも早起きは三文の徳なのですね。フランス国民にとっては労働の権利を守る記念の日としての国民の休日です。家族でフルコースの昼食を楽しんだり、また労働組合などが主催する集まりに出かけたりして一日を過ごすそうです。
昨年からコロナウィルスの影響でなかなか海外へは足を延ばすことができませんが、将来このウィルスが収束したら、スズランの香が街中に漂うメイ・デーにフランスを訪れてみたいです。この時期花だけでなくあめ細工のお菓子ですらスズランが登場するとの事。繊細そうですね。フランスのスィーツもお美味しく考えてみただけでワクワクしてしまいます。ただしこの日は花屋以外のお店は閉まっている事が多いのでご注意ください。尚、イギリスは5月最初の月曜日が休日です。ほとんどのお店がお休みとなりますので街が寂しく感じられます。
日本で見かけるスズランは2種類。ドイツスズランは葉と花が同じ高さで揃っています。日本のスズランは花の方が小さく小ぶりです。ブーケにするのでしたらドイツスズランの方が扱いやすいと思います。スズランは花の中でもかなり短命ですが、それでも香と可憐な花はやはりこの時期飾りたいお花です。原産は日本、北朝鮮あたのものとヨーロッパ北部の物があります。
スズランのつぼみを今年も庭で発見。祖母が北海道から数十年前に持参したものが毎年温暖化にも負けず咲いてくれます。ぼちぼち花粉症も落ち付き始めていますので、これからは目だけでなく鼻も効かせて日々花観察を楽しもうと思います。尚、スズランの根には毒があります。一般的な切り花で取扱う際には何も問題はありありませんが間違っても掘り起こした根を食さないように。動物は本能でよける草です。
皆さんにも幸運が訪れますように。素敵なメーディをお過ごしください。Bonne Fete du Muguet!
鈴蘭 君影草
キジカクシ科スズラン亜科スズラン属
Convallaria majalis L. 主にヨーロッパに自生
Convallaria keiskei Miq. (C. majalis var. keiskei(Miq. Makino)日本や朝鮮半島などに自生