夏が終わると、ほぼ世界中の都市ではオレンジ色の南瓜や黒いネコ、紫色の怪しげは魔女のハットや箒など様々なハロウィーングッズが一斉に店頭に並びます。欧米の各家庭でも10月も半ばを過ぎれば、南瓜をくり抜きジャック・オー・ランタンを作り、窓辺に花を飾り仮装して歩く子供たちへのお菓子の用意もします。大人も子供も楽しめるハロウィンですが、実際は祖先を敬う日として今でも習慣が残っている地域もあります。
ハロウィンは紀元前800年頃、イギリスやフランス北部に住んでいたケルト人たちの冬を迎えるSamhainという儀式が始まりのようです。その後ローマ人たちに征服されたケルト人たちにもローマの果樹と収穫の女神Pomonaを崇める "Pomona Day" やキリスト教徒たちによる "All Saints and All Souls Days" など世紀を渡り、数々の宗教や人々に受け継がれてきました。
ハロウィンの始まり 10月31日
紀元前800年代にイギリスおよびフランス北部あたりで発祥。ケルト人たちは自然を敬い、数々の神を信じていました。中でも太陽の神が最も信頼される神であり豊穣をもたらすと崇められていました。ケルト人暦では10月31日は大晦日であり11月1日は新年となります。太陽がすべての恵みをもたらすと考えられ10月31日を太陽の季節の終わりとし、その日を境に暗く寒い冬の季節の始まりとしたのです。ケルト人たちは冬の間、太陽の神は死と暗闇の神であるSamhainに支配されると考えました。10月31日にその死と暗闇の神が死神たちを集める日とされ、様々な姿になり悪霊が地上に降りてくるとされ、ほとんどの悪霊は猫の姿となっていたそうです。その悪霊たちからどうやって身を守るかが今日のハロウィーンの習慣になったお話です。
ケルト人のハロウィン Samhain
ケルト人たちは10月31日までにすべての穀物の刈り入れを終え、長い冬に向けての準備を終了させました。そして家の中に暖炉の火を入れる準備をします。ドルイド教の人々や司祭などは暗闇の中、丘の上にある神聖なオークの森に集合することになっていました。集まった人々は火を起こし収穫物や動物などを捧げ物としました。そしてその火の周りで踊り、去り行く太陽の季節を惜しみ、冬の到来を迎え入れるのでした。
やがて朝となり人々は残り火を家に持ち帰り、家の料理用ストーブに火を移しました。この火を保てば家を暖かく（安泰に保ち）、悪い悪霊が払われると信じていたからです。
11月1日の祭典は闇夜の神であるサムハイン（Samhain）の名からとられ、サムハインと太陽の神の両方を祭る祭典となりました。この祭典は3日ほど続き､たいていの人は動物の皮から作られたコスチュームや動物の頭のかぶり物をまとい街を歩いたそうです。これがハロウィーンの仮装の習慣の始まりとされています。
ローマ人のハロウィン Pomona Day
43年頃ケルト民族はローマ人により征服され、ローマ人たち果樹の神であるPomonaの祭りも11月1日頃に執り行われ、呼び方も "Samhain" から "Pomona" の祭典となりました。宴には木の実とリンゴが食されました。実物やリンゴがハロウインの飾りによく用いられるのは、このローマの果樹と収穫の女神に因むものです。
ローマンカソリック教会は835年に11月1日を休日とし、すべての聖人たちを敬う日となったのですが、同時に死者へ祈りと広まってゆきました。ヨーロッパでは11月1日を"All Saints Day"として先祖に捧げる花を用意しています。"All Saints Day" のもう一つの呼び方を "All Hallows" と言います。
黒猫、ジャック・オー・ランタンの灯、被り物＝仮装、そしてリンゴやリンゴサイダーなど、今のハロウィンのパーティーにつながる事は昔からあった事だったんですね。
キリスト教の大布教にもかかわらず、人々はこの10月31日のケルト人の "Samhain" とローマ人の" Pomona Day"の祭りも忘れませんでした。ケルト人の祭りの習慣が後々キリスト教徒のものと混ざり合いハロウィンの表現も "All Hollow Eve" →"All Hollow 's Eve" →"Hallowe'en" →"Halloween"となった訳です。
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