2024年夏のオリンピックがパリで開催されました。気になっていたメダリストブーケ、やはりエコロジーの観点から無しでした。コストもかかるのでしかたないのかもしれませんが、とても残念。
歴代のブーケが気になり、どこかに写真がないかなと探したらカナダのcbcのサイトに載っていましたのでご紹介しましょう。
https://www.cbc.ca/lite/story/1.7265354
メダリストに送られるこのビクトリーブーケにはいくつかの規定があります。
- 芳香がない事もしくは少ない事。
- 厳しい気象条件にも耐えられること。特に冬開催時。
- 花が傷みにくく丈夫な事。
- 水がなくても数日間持つ事。
- 花はその開催地に関連し、シンボルとなるような選択が望ましい事。
以上のポントを踏まえ、ブーケのデザインは予めオリンピックのコミッティーに提出します。
古代オリンピックでは、オリンピアのゼウス神殿の聖なるオリーブで作られたリースがスーポツや音楽コンクールの優勝者に送られたという記録があるそうです。近代のオリンピックのメダリストブーケを振り返ってみましょう。
1896年 アテネオリンピック
古代の習慣になぞり、ゴールドメダリストにはオリーブ、シルバーメダリストには月桂樹の枝が送られたとの事です。
1908年 ロンドン
本来はイタリアのローマでの開催の予定でしたが、ベスビオ山の爆発によりロンドンへ変更。オーク(ナラの木=どんぐりのなる木)のブーケが送られました。オークはイギリスでは強さと持久力の象徴です。
1984年 ロサンジェルス
地元のフラワーショップ 'Conroy's'によるデザインと製作で、極楽鳥花(バードオブパラダイス)、黄色いオーキット、紫色のリアトリスにカラフルなガーベラ、葉はレザーファンで組まれたアームブーケです。
1996年 アトランタ
フローリストMary Jo Meansによる真夏の花のアソートです。5輪を模るかのように5種類の花が選択されました。ヒマワリ、オレンジのタイガーユリ、鶏頭(セロシア・クリスタータ)、紫のラクスパー/デルフィニウム、白のチューベローズに葉物はマグノリア、ローレル、イワナンテン、そしてオリーブと、アメリカ国産の葉と古代オリンピアで使われた葉のミックスです。ややタイトに組まれており、白と黒のストライプのリボンでオリンピックカラーを象徴しています。それぞれの花にも、忠誠や信義、不朽で永遠な物であり、誇り高く、柔軟性に富み、愛と尊敬の意があります。とても素敵ですね。
2000年 シドニー
オージープランツが主役でした。この辺からは覚えている方も多いのではないでしょうか。赤いワラタをメインフラワーとし、クラスペディア(billy button or drum sticks)、カンガルーポー、フラネルフラワー、ワックスフラワー、そして葉はホワイトオークでややタイトに束ねられたブーケでした。ワラタや葉に存在感があるためボリューミーな花束でした。それらの花材はオーストラリア全土から集められた物との事です。尚、この年は例年より寒く、とくにワラタの花の開花が実にゲームのはじまる3日前であったとの事。花の会社のディレクターであったJamie Creerさんには神様からの祝福があったのでしょう。
2004年 アテネ
古代の習慣を再現。オリーブを束ね5,513個のリースを作られたそうです。さらにビクトリーブーケも用意され、ガーベラ、タンジー、リモニウム(スターチス)、アキノキリンソウ(goldenrod, ソリダゴ)にオリーブとハランの葉で、かなり大きなポージースタイルの花束でした。
2010年 バンクーバー
鮮やかなグリーンのマムを中心に、ヒペリカム、ハラン、レザーファン、ベアグラスで小ぶりにまとめたハンドタイドブーケでした。オリンピックの会場では様々な色が目に入ります。グリーン一色のモノクロマティックなブーケは、インパクトもありとてもフレッシュで目を捉え、素敵なアイディアだったと思います。ブーケ作成にかかわった故Strandbergさんという方は、女性たちを支援するためフラワーデザインを教えており、その研修生たちもブーケ作りに参加していたとの事です。
2012年 ロンドンはピンク、黄色、オレンジとグリーンと色の異なるバラ4種をグルーピングしたチャーミングなハンドタイドブーケでした。葉物はローズマリー、アップルミント、ラヴェンダーに麦で、ハーブ使いがなんともイギリスらしいですね。故Jean Packer氏のショップのフローリストであったSusan Lapworth氏のデザインです。イギリス全土のフローリストリーを勉強している生徒たちによる力作です。ロンドンオリンピックのテーマカラーをつかったメダルのリボンとマッチさせたブーケリボンもお洒落でした!
2016 ブラジルのリオでは持続可能な地球資源を尊重し、ブーケはありませんでした。その代りにリオのロゴの置物がメダリストたちに贈呈されていました。この素材は何であったのか気になる所です。
2020年 東京は2011年の東北大震災の地域で生産された花のブーケでした。ヒマワリは宮城から、岩手からは東京のテーマカラーでもある青のリンドウ、このタイプのリンドウは日本原産でもあります。緑のトルコキキョウは福島から、そして添えられたハランは東京産です。マスコットを付けたちょっとユニークなブーケでしたね。花のチョイスは良かったと思います。
関連ブログ http://act-flower.com/node/481、http://act-flower.com/node/494
2022年 北京ではなんと編み物でできたお花のブーケでした。上海の伝統的な編み物でユリやバラ、オリーブの枝などを編み1,251個のブーケに仕上げたとの事です。
2024年 花の都パリでのヴィクトリアブーケはやはりエコロジー優先で、ありませんでした。
オリジナルの記事と写真は https://www.cbc.ca/lite/story/1.7265354
皆さんの一番好きなブーケはどれでしょうか?
暑い夏、パラリンピックももうすぐ始まります。体調を整え選手の皆さんはベストを尽くしてください!
- コメントを投稿するにはログインしてください